僕が麻枝准の音楽の虜になったわけ
麻枝准というクリエイターを、皆さんはご存知だろうか。
アニメやAVG(特に美少女ゲーム)といったサブカル文化に触れたことがあるなら上記の作品を知っているのではないだろうか。
これらの作品を企画し、シナリオと音楽を担当したのが、ゲームブランドKeyのクリエイター、麻枝准である。
美少女ゲームに泣きという概念(所謂泣きゲー)を作ったパイオニアとしても知られ、上記三作品とも初版で10万本を売り上げる大ヒットを記録した。
これらの作品はのちにアニメ化され、特にCLANNADは泣けるアニメを紹介するサイトでは常に上位をキープするなど高い人気を誇っている。
麻枝自身は近年ゲームのシナリオ執筆から距離を置いているが、2010年のAngel Beats!、2015年のCharlotteでアニメの脚本に挑戦し、今なお多くのファンや信者を魅了する作品を作り続けている。
麻枝准の音楽
その中で今回は麻枝准の音楽について取り上げていきたいと思う。
麻枝は作詞家、作曲家としての側面をもち、代表曲といえばLiaが歌唱を担当した時を刻む唄が挙げられる。
この曲は2008年に京アニ制作で放送されたCLANNAD 〜AFTER STORY〜のOPとして採用された曲である。
麻枝の曲の特徴は歌詞の物語性、メロディの独創性である。
音楽理論から逸脱したメロディ、転調や変拍子の多用、メロディの中毒性。
本来であれば麻枝の書く曲という面でもっと語っていきたいのだが、僕は音楽の理論について詳しくないので、今回は歌詞についての話をしたいと思う。
彼の書く歌詞はよくスルメ曲と形容される。その所以は一度聞くだけではピンとこない歌詞である。
麻枝の曲を理解する上で
CharlotteのOPのBravely You(歌唱Lia)
リトルバスターズの沙耶EDのSaya's Song(歌唱Lia)
Angel Beats!の劇中バンドGirls Dead Monsterの1番の宝物〜Yui final ver〜(歌唱LiSA)
そして、最初にあげた時を刻む唄を是非聴いてみてほしい
初見では何をいっているのか理解できないが、物語を見進め、繰り返しこの曲を聴くことでこの曲の意味を理解することができるだろう。
特にSaya's Songは沙耶ァァァ、1番の宝物はユイィィィ 時を刻む唄は渚ァァァと、嗚咽を漏らしたくなること請け合いだ。
また、麻枝の歌詞の傾向として、一つの曲で一つの物語を作っていることが挙げられる。
世間で高い評価を受けている曲というと、感謝ソング、メッセージソングなどが主流だが、麻枝は一味違う。彼の書く曲は1曲の中で一つの物語を創作し、完結させているのだ。
終わりの惑星のLove Songというアルバムをぜひ聴いてみてほしい。一つの曲の中で物語を創作し、さらにアルバム全体でも一つの物語として成立している。
他にも
などもそうだ。
麻枝准の音楽が好きになったわけ
僕が麻枝の音楽を知ったのは2017年の夏頃である。当時の僕は失声をして引きこもり、家から一歩も出ることができなかった。
その頃家の中で僕がしていたことは主にアニメ鑑賞である。
それまで所謂サブカル文化にほとんど触れることがなかったが、無為にすぎる時間の中、偶然鑑賞したとあるアニメをきっかけにズブズブと沼に嵌り、僕の趣味と化した。
そんなある日、僕はある曲を聴いた。
この曲は麻枝が作詞のみを担当した曲だが、アニソンやゲームソングに造詣の深い人から国歌(こっか、くにうた)として親しまれている曲である。
元々僕は音楽が好きで中学時代は吹奏楽部に属していたのだが、ポップス曲の歌詞はどの曲もありきたりで、陽の目が当たる曲の多くは感謝ソング、ラブソング、メッセージソング。
はっきり言って辟易としていた。
でも鳥の詩は違った。
曲はもちろん素晴らしい。ここまでキャッチーな曲を作る作曲家の折戸伸治には脱帽である。
だがそれと同じくらい、歌詞にも衝撃を受けた。
それは懐かしさと、儚さと、果てしなさと、雄大さ。
麻枝が書く詩は僕にストライクだったのだ。
彼が作曲した曲も同様だった。
それから僕は麻枝が作詞、そして作曲をした曲を聴くようになった。
彼の書く曲、もとい彼の描く壮大な物語を。
僕が思うに、麻枝の曲は多くの人から共感を得られるような曲ではない。
選択する言葉は間接的で、曲は独創性を帯びる。
でも僕は麻枝の書く物語、音楽に感銘を受けて麻枝の音楽を聴かない日はないくらいの信者と化してしまったのである。
最後に
麻枝は一度重度の心臓病を患い手術をしたことを公表している。彼の体調に一介のファンとして心配を禁じ得ないが、先日、麻枝が作詞作曲を担当しているSatsubatsu Kidsのアルバムが発売された。今後も彼が創る音楽、世界に期待したい。